【2033年】ALS患者はバーチャル社会で活躍の場を広げる

あなたは「ALS」という症状をご存知だろうか?

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気のことだ。筋肉そのものに関する病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけている状態である。

原因は不明なのだが、神経の老化と関連があるといわれている。

一見すると生活に不自由だと思うかもしれないが、バーチャル社会においては身体の制限は全く関係なくなる。

つまり、今の社会では活躍できる機会が少なくても、バーチャル社会で大活躍する人も増えるのだ。

今回はALS患者が今の社会で生きづらい現実に目を向けて、原因不明の難病で苦しまない社会を実現するための未来について予測をしていこう。

目次

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ALS患者はバーチャル社会で活躍できる

ALS患者はバーチャル社会で活躍できる
前述した通りALS患者は今の社会において、とても生きづらいだろう。何しろ、体を動かしたくても思うように動かないのだ。

ALS患者はバーチャル社会で活躍の場を広げる。

このような未来を想像したことがあるだろうか?

こんなことが実現可能なのか疑問に感じる方も多いだろう。しかし、バーチャル社会の実現は政府も発表していることなのである。

それが「ムーンショット目標」である

このことから、ALS患者がバーチャル社会で活躍できる日はそう遠くないことがわかるだろう。

【解決したい課題】

原因不明の難病がない社会を実現する

これは、人が理不尽に生活の自由を奪われないために必要なことである。

何しろASLは、明確な治療法がないにもかかわらず、体の自由が奪われていくのだ。理不尽にも程がある。

ALSの進行を遅らせる作用のある薬:リルゾール(商品名「リルテック」)という薬があるが、明確な治療には繋がらないのだ。原因不明の難病がない社会が実現したら、どんなに嬉しいことだろうか…。

【そう思ったきっかけは?】

病気は総じて苦しいものだが、なかでも難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の残酷さは想像を絶する。

病気が進行すると、手足の自由がなくなるだけでなく自発呼吸や食事もできなくなる。しかし、五感や内臓機能は衰えない場合が多く、ただアウトプットのできない状況下で生きることになるのだ。

特に恐ろしいのは、コミュニケーションの問題だ。

植物状態と違い、意思ははっきりしているので、それを伝える手段が必要になる。

眼球などわずかに動く部分を使ってデジタル文字盤などで意思を伝えることができるが、症状が眼球運動にまで及ぶと完全にコミュニケーションの手段を失ってしまうかもしれない。

現在、その危機を感じているのはALS患者の藤田正裕 氏だ。

身体は生き続け五感もあり思考も働くが、アウトプットの自由を完全に奪われる完全閉じ込め状態(Totally Locked-in State, TLS)になってしまうことは、残酷以外の何ものでもない。

この病気の解明・根治については、英知が結集して究明しているところだと思うので、私は少しでもALS患者の人生が向上するにはどうすればいいのか考えた。

【何がそうさせているのか?】

ALSは、これまであまり研究がされてこなかった。

難病で高齢者に多い病気ということ、そしてサンプルが蓄積されていなかったことが原因として考えられる。

一方で、一口に身体障がいといっても個人差が大きいものであるため、社会のバリアフリー化や支援体制を完璧に行うのは簡単ではない。

障がい者施設へ研修に行ったことがあったが、みなそれぞれの方法で暮らしていた。

知的な精神障がいがひどくても、スタッフとの信頼関係でコミュニケーションがとれるようになった人もいれば、気ままに車いすで朝礼を抜け出す人も。

大事なのは障害に寛容な環境であり、健常者と同じ方法で生きなければならないという縛りは当事者を辛くさせるだけではないかと思ったりもした。

ただ、そのうえで「自分は何かの役に立っている」という自己肯定感も必要だと感じたのだ。

ALSにおいても、医療や介護によって患者自身は生きていられる。

ただ、それだけでいいというのは周りの考えであって、患者自身がどう生きたいと思っているのかを無視してはいけないと思う。

【既存サービス、取り組みについて】

先述した藤田正裕 氏や、SNSで話題となったアイス・バケツチャレンジの発案者である故・Pete Frates氏の患者自身の活躍、そして世界ALSデーの「GORON FOR ALS」などのイベントでALS患者の身になって考えようという取り組みがあった。

その成果か、ALSへの注目は以前よりも高まっているように感じる。

アイス・バケツ・チャレンジ

また、アイス・バケツチャレンジでは、世界で2億2000万ドルの寄付金を集め、ALSの研究に役立てられた。

(参考:https://fr.reuters.com/article/challange-idJPKCN1080DQ

一方、コミュニケーションの問題は、デジタル文字盤での意思疎通のほか、分身ロボットで運動を代替しようという試みがある。

(参考:https://orihime.orylab.com/

ALS患者の舩後靖彦参院議員議員が、国会に参加する手段として提案したことも話題となった。

【だからこうした方がいいんじゃないか?】

完全閉じ込め状態(TLS)になる場合、希望するALS患者はバーチャル空間に移行する。

前予想で「【2030年】人の脳はプログラム上で再現可能になる」というものがあるが、これに関して「パルストランスミッション」という人間の脳波をデータ化し電脳空間に送り込むシステムについての言及があった。

さらに、「【2026年】手足の障がいの機能改善・拡張をめざす医療が整備される」では、脳の指令を受け取ったサポート機器によって肢体を動かす技術も紹介した。

これらに先述の分身ロボットも含めた組み合わせで、シチュエーションに応じたコミュニケーション手段が確立できるのではないだろうか。

特に、働く意欲がある患者に対しては、バーチャル空間上で仕事を継続することができるかもしれない。

「【2050年】依存者向けバーチャル社会ができる」という前予想でも書いたように、それぞれに適したレイヤーごとのバーチャル社会があってもいいのではないだろうか。

コミュニケーションだけでなく社会で働くことを重視するのは、完全介護を余儀なくされる患者の、尊厳の維持にもつながると考えているからだ。

何もかも世話されて情けないと思う必要はなく、バーチャル空間上で社会的地位を築いていける環境が整えば、TLSも全くの絶望ではなくなるのではないだろうか。

【なぜそう考えるのか?】

当然ながら、難病の根治が一番の解決方法である。

しかし、これまでの難病でもそうだったように、治療法が確立するまでの時代を生きる人は壮絶だ。

私たちはこの問題から離れれば、自由に動ける当たり前の毎日を送れるが、ALS患者はこの瞬間も進行する病状のなか暮らしている。(ALSは遅らせることはできても常に進行性だ)

それに、この技術はALS患者に限ったことではなく、事故や他の病気の進行などで植物状態に陥った人にも応用が利くかもしれない。

過去には、植物状態だと思われていたが患者にははっきりとした意識があり、長期間誰にも気づかれずTLS状態だったという事件もあった。また、完全閉じ込め状態(TLS)以外でも、身体障がい、精神障がいのある人がよりよい生活をするためにも役立ちそうだ。

20XX年、ALS患者はバーチャル社会で活躍の場を広げる

ALS患者はバーチャル社会で活躍できる
2033年、ALS患者はバーチャル社会で活躍の場を広げる

AR、VRの産業は多くの企業が力を入れている。その1つが、Meta(元Facebook)である。

バーチャル社会の実現は、そう遠くないだろう。ALS患者をはじめ、脳は正常に機能しているが身体の自由が効かない人たちにとっての活躍の場が、増えることを楽しみにしている。

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