
1. 【解決したい課題】
過疎化しても快適に暮らせる社会を実現する
2. 【そう思ったきっかけは?】
過疎地に暮らす住人の高齢化がすすみ、さまざまな生活不便が問題となっている。
特に交通関連の不便は改善が難しい。コミュニティバスや移動販売車を走らせても不採算で、税金による支援を受けてやっと運営していることが多い。
一方で、過去の規制緩和によって都市部にはタクシーが溢れ、進路妨害になって日常的に問題が起きている。
このアンバランスを解消する形で両者の問題を解決できないだろうか。
3. 【何がそうさせているのか?】
過疎地では、コミュニティバスに代わるものとして、タクシーや乗り合いタクシーが利用都度運行する「デマンド交通」が導入された例もある。
ただ、利用者の使いやすさや採算の面で課題があり、あまりうまくいっていない場合もあるようだ。
(参考:https://toyokeizai.net/articles/-/247936)
ここで、Uberのような個人のドライバーを活用しようとすると、国土交通省の「白タク規制」が壁となる。
基本的に無償ボランティアでなければ、営業免許のないドライバーは「白タク」とみなされてしまう。
助け合いの精神は大事だが、一方通行の援助は人間の性としてなかなか続かないものだ。
昔は、若者がお年寄りを助け、若者も年をとれば次の世代に助けられるといった循環があったが、過疎地では次の世代がおらず循環がストップした状態だ。
一方のタクシー業界は、規制緩和で事業コストが下がったと同時に、新規参入が相次いで混乱も起きた。
減車など事業縮小しやすい制度にしたつもりだったかもしれないが、結果的には車両数が増えたばかりか、過度な競争によって、事故やドライバーの賃金低下などもみられるようになった。
(参考:http://www.taxi-tokyo.or.jp/qa/entry.html)
4.【既存サービス、取り組みについて】
個人ドライバーが自分の車に乗客を乗せるライドシェアは、日本に「CREW」というサービスがある。
「Uber」は、そこに運賃が発生し、アプリを通して乗客が個人ドライバーに支払うシステムだが、日本ではこれが「白タク」行為だといって普及しなかった。
これには仕事を奪われるのを恐れたタクシー業界のロビー活動があったという識者もいる。
(参考:https://forzastyle.com/articles/-/58588)
CREWは、運賃ではなく謝礼を支払うシステムで、合法的なサービスだということでしばらく運営されていた。
しかし近年、これも国土交通省からストップをかけられるなど円滑な普及には至っていない。
ライドシェアのスタートアップは、不採算で撤退の続く地方の交通を補う目的もあっただけに、既得権益の壁にぶつかり停滞してしまったのは非常に残念だ。
5. 【だからこうした方がいいんじゃないか?】
過疎地にタクシー会社が村をつくる。
ここまでの話から一気に飛躍するが、要は業界の反発に対抗するのではなく、新たな役割をあてがうことで問題解決していこうということだ。
福祉事業者としての指定を受けたタクシー会社は、国の融資を元手に過疎地エリアに事業所をつくる。
そして社宅を設け、ドライバーが低賃金でも安定した暮らしができるようにする。
それではどのように利益を得ていくのかというと、周辺地区の貨物・旅客の運送を一手に引き受けるのだ。
地場の運送業も吸収合併することで既存ルートも手に入り、事業所は物流拠点にもなるだろう。
そうなれば過疎地の住民にとってタクシーは移動販売車や宅配業の代わりとなる。
また、既に介護タクシーや陣痛タクシーがあるように、救急車の代わりも果たすだろう。
乗り合いタクシーならスクールバスとしても活用できるかもしれない。
これで医療機関や教育機関への交通手段がまかなえそうだ。
そしてこの村を「スマートシティ(ビレッジ)」のモデル事業にする。
スマートシティ推進としての投資も可能になれば、不採算があっても補えるのではないか。
さらに、ここに物々交換を認める小規模経済社会ができるとおもしろい。
農作物は作っているが農協の制約などでなかなか収入アップが難しい住人がいれば、規格外の野菜の価値をグラムで取り決め、運賃の代わりとする。
これはドライバーの社宅での社食に使えばいいだろう。
6. 【なぜそう考えるのか?】
タクシーが貨物運送もできるというのは、国土交通省が特例として認めたタクシーの貨物輸送が継続されるというニュースがあったので、将来的にも可能性なのではないかと考えた。
(参考:http://cargo-news.co.jp/cargo-news-main/2480)
タクシーの村というのは現時点ではファンタジーだ。しかし、雇用と新たな社会の実験の場にもなりうる。
雇用については、スマート化のためのデジタル作業は若い社員が中心となり、ドライバーはベテラン社員が中心に働く。
後期高齢のシニア社員にはドライバー業だけでなく、社屋の管理の仕事も用意すれば、個人の状態に合わせて無理なく働くこともできるだろう。
そして、スマートシティの実証実験もオープンに置け入れれば、国やスタートアップなどの投資でEVや新エネルギー発電設備も導入できるのではないだろうか。
いくつかのタクシー会社がタクシー村事業に乗り出せば、過疎地の問題解決とともにドライバーの安定的な暮らしが確保できる。
同時に、街に走るタクシーの数は適正化され、事故や渋滞が改善するとともに、都会に住むドライバーの賃金も安定するだろう。
当然新たな問題も出てくるだろうが、既得権益を廃すことなく新たな仕事を用意することで、よりスムースな改革となるのではないだろうか。
7. 【20XX年、未来はこうなる! 】
2027年、タクシー会社が村をつくる
気付き
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