不良少年の決断 第二話

最後の大会にもなると熱い試合が続き応援にも熱が入る。

けど、熱いプレーとケガはもはや表裏一体だと思う。

 

・・・キープレイヤーの一人が負傷してしまった。

イエローカード提示のラフプレーだった。

 

前半早々に要を失ったことで試合前のプランは完全に狂った。

選手たちも不安そうな顔でこっちを見てくる。

 

「誰を入れて勝つために何をどうすべきか」

小さな判断の積み重ねで試合は決まる。

奇遇にもそのポジションは彼が得意とするポジションだった。

 

6年生にとって最後の大会、

最後はなんとしても有終の美を飾りたい。

 

でも、想いだけではやれないので、ある程度の狙いと勝算は持たなきゃならない。

 

応援する親たちは「どうするんだろう。。。」なんて顔でベンチを見ている。

とても深く、次の展開を見据えて考えた。

 

「○○、行こうか」

正直、今の状況に一番フィットするであろう5年の選手と悩んだ末の決断だった。

彼の荒削りながらも突っ込んでいくバイタリティーに賭けた。

 

彼は準備して交代ゾーンに向かおうとする。

「頼んだよ」って一声掛けた。

 

しかしなぜか交代ゾーンに向かう途中で引き返してきた。

ちょっと意味が分からない。

 

ちょっと半泣き。

ますます意味が分からない。

 

「コーチ、おれの代わりに○○を出してください」

突然の申し出。

 

「・・・それは出たくないってこと?」

「いや、おれは出るべきじゃないと思う」

 

「わかった」

時間も無いのですぐに指名したそいつを交代ゾーンに送り込んだ。

・・・例の5年生ね。

 

交代も終わりベンチに腰かけようとしたとき、彼に訊ねてみた。

 

すると、

「ここは譲るべきだったでしょ」

という言葉を言い終わるかどうかで忍び泣き。。。

 

伝え方で意図と決意が伝わってきた。

そういうことなら、そういうことなんだろう。

 

意味がわかってとりあえず、もらい泣きしてしまった。

 

「その決断、素直に凄いと思ったよ」

ただひたすら横で泣いているのでほぼ独り言のように伝えた。

 

「譲るべき時と譲ってはいけない時がある、後で詳しく話すけど、今はそれだけを覚えておいて」

 

と伝えて、また試合に意識を戻した。

 

おわり

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