
1. 【解決したい課題】
自然災害(地震・噴火)のない社会を実現する
2. 【そう思ったきっかけは?】
自然災害を完全になくすことは難しい。
気候などをコントロールする技術はあれど、地球全体で考えるとまだどれだけの副作用があるか計り知れない。
そうなると、被災をうまくかわす免災、あるいは被災した環境下でも財産や命が守れて生活を維持できる方法を考えるのがいいのではないかと思った。
しかし、日本には機能的なシェルターが少ない。
政府が大災害への備えを呼びかけている現在も、全ての人が個人でシェルターを保有するのは現実的ではない。
それならば、これからの車にシェルター機能が付けばいいのではないか。
日常使いしながら、災害時にはシェルターとして使うことができれば普及も不可能ではないはずだと考えた。
3. 【何がそうさせているのか?】
建築基準法をみても分かるように、近年の災害対策は主に「耐える」ことだった。
しかし地面から離れないよう頑強につくられた家でも、水害や噴火が起きると逆に被災から逃れられない。
これらの被害を大きく受けないためには、「逃げる」ことと「復旧するまで生活を維持する」ことが大切だが、避難所へ移動中の被災や、避難所での集団生活の難しさが課題となる。
特に、今後は感染症対策が重要となってくるが、同時に津波による浸水や火山灰の侵入も防がなくてはならない。
あるいは、犯罪防止策やストレス管理をしながら長期間多くの人の生活を維持するのは、至難の業だ。
最近では、避難のあり方や避難所での快適性・安全性を改善する取り組みがあり、これも大変有効な災害対策だと思う。
一方で、個々の所有するシェルターでより確実な避難はできないだろうか。
しかし、日本は自然災害が多いわりには家庭用シェルターの普及率は低い。
4.【既存サービス、取り組みについて】
まず家庭用シェルターは意外と多く市販されており、室内設置・地下埋め込み・置き型などラインナップは様々だ。
ただ費用や普段使いを考えると、やはり普及は難しそうである。
一方の車だが、震災後に普通車でも車中泊できるものに人気が出た。
それをもっとシェルター化できればいいのではないか。以下の製品にヒントを得たい。
まず、水に浮かぶ車の「FOMM」。
水害に悩むタイで導入されたことでニュースにもなった小型EVだ。
バッテリーは取り外し可能で、非常用電源としても使える。
気になる居住空間だが、EVなら車内を広くデザインできるし、足りなければルーフテントやボートを搭載する手もある。
また、空間確保で車体を大きくした分は軽量化が必要だが、これには既に採用されている樹脂や発砲アルミなどの軽量素材をうまく使うといいのではないか。
コンセプトカーでは、ゴム製やシリコン製もある。
そして救助や移動が可能になるまで生活するとなると、各循環システムが必要だ。水に関しては、WOTAのAI水循環システムがある。
ほかに換気や空調も重要だが、これはむしろ宇宙空間で生き延びるための技術にヒントがありそうだ。
ちなみに、最初は水陸両用車やホバークラフトのように水陸移動できるものを考えたが、普段使いは騒音や燃料がネックとなる。
また、建物が密集している日本では、障害物やおぼれた人に接触しないよう、いかだ型がいいのではないかと考えた。
5. 【だからこうした方がいいんじゃないか?】
いかだ型のシェルターEVをつくり、普及させる。
構造のアイデアとしては、いかだ部分にモーターや循環システムなどの機器を詰め、重心をおいて安定させる。
その横に車輪、上に車体を置くかっこうだが、強靭なフレーム以外は軽量素材でつくり浮力をもたせる。
とはいえ事故や被災時の衝突が怖いので、外壁と内壁の間にハニカム構造を入れて衝撃吸収材を充填するのはどうだろうか。
車内空間は、椅子をスリム化・フラットな床にして、リビングのような居住性をもたせる。内壁は全面クッション材で、全席エアバッグ。
そしてスマート交通によって交通事故のリスクがほぼないことが前提ではあるが、これによって今や新生児からの着用が義務付けられたチャイルドシートも、よりソフトで子どもが嫌がらない設計にできるかもしれない。
さておき、次は生活できる設備だ。まずは水や空気の循環システム、そして発電システムを搭載したい。
非常用グッズや食料は、いかだ部分の床下収納に備蓄できる。
トランク部分は仕切って別室にでき、トイレや着替えはそこで行う。
そして捨てたいものは弁付きの排出口から外へ出す。
車内の衛生を保つためだ。非常時なのでどうか許してほしい。
こうして生活しながら救助を待つか、災害が収まったら移動する。
このような避難の仕方はどうだろうか。
新たな問題が起こるかもしれないが、少なくともこれまでの避難におけるリスクは軽減するのではないだろうか。
6. 【なぜそう考えるのか?】
将来、スマートな交通社会が実現していると仮定すると、カーシェアリングなどで車の所有が減るのではないか。
そうなれば、モビリティシステム事業に参入できなかったメーカーは苦戦するだろう。
あるいは、ガソリン車の販売禁止が各国で採択・検討されており、日本も経産省が2050年を目標にしている。
そこで、EV車にシェルターという付加価値をつければ、新たな需要を生むかもしれない。
そこに活路を見出すメーカーもあるのではないだろうか。
現在は、先述のようなシェルターカーをつくるのも買うのもかなりの費用がかかると思うが、生産がガソリン車からEVへシフトしていけば徐々に手の届く価格になっていくのではないかと思っている。
東日本大震災では、移動手段のない人を乗せるため避難所へ向かうのが遅れた車が、津波の犠牲となった。
それは火山灰でも同じだろう。
車にシェルターの機能があれば、たとえ安全な場所へ逃げ遅れたとしても車内で生き残れる可能性があるはずだ。
私は車の専門家ではないが、今回は、大災害の起こりうる時代、こんな車がほしいという願いを著してみた。
7. 【20XX年、未来はこうなる! 】
2035年、シェルター機能のついた電気自動車が普及する
気付き
・・・